毎度テルミニ駅から地下テルに乗るのにあきてきたので、次の駅、共和国広場から乗る。広場といっても交差点的なところで、半円形の柱廊のあるビルに、ラウンドアバウトの交差点、中央にはナイアディの泉の噴水がある。で、ゆっくり見たいが時間がないのでさくっと広場の地下にある駅から地下鉄に乗って、チプロ駅へ。チプロ駅は、チプロ - ムゼイ・ヴァティカーニ(バチカン美術館)駅で、美術館のツアーの待ち合わせ場所がこちらにある。
ちょっと早かったのでジェラート屋でヨーグルトとレモンのジェラートいただく。暑い日はこれがいい。いい雰囲気の階段の前で待つ。
ツアー開始。バチカンの壁沿いを歩いて美術館の入り口へ向かう。バチカン美術館の入り口は壁にあるので、バチカンから入ることはできなくて一旦バチカンからイタリアに出てからしか美術館に入れない感じでなかなかややこしい。
すごい行列を横目に入館。ツアーにしてよかった。
荷物検査とたぶん服装チェックをすぎて中庭へ出て、さっそくバチカン美術館とシスティーナ礼拝堂などその場で会話ができないところの解説を先に聞く。宗教的な細々したのは事前知識も英語単語も疎いのでだんだん、わからんってなる。ふと皆さんをみると、いろんな国の人がいるツアーなので、めっちゃ聞きたい人、早く見たい人、個性というより国民性が出るなと感じる。
バチカン美術館はテーマ別に20ちょいの美術館と博物館の複合であり、全部回るのは大変なのでかいつまんで回るツアー。
ピーニャ(松ぼっくり)の中庭にはその名の通りでかいブロンズの松ぼっくりが。もともと2000年ほど前に噴水として作られたのだそうで、豊穣と繁栄のシンボルなのだそう。入り口には意味のあるいい作品。奥には屋外展示なのにピカピカの球体作品。1990年の作品だそうで、ただ古いものを展示しているわけじゃないというのを感じられる。
絵画館ではラファエロにミケランジェロにといきなり豪華。ピオ・クレメンティーノ美術館では、八角形のベルヴェデーレの中庭の周囲にずらっと彫刻があり、ミケランジェロなどイタリアルネサンスの方向性に影響を与えたラオコーンなどもある。大理石の彫刻でここまで表現できるのが驚き。発掘された時には腕が失われていたとのことだが、これだけ複雑な形なのでいい状態で埋れていたんやなと思う。
続いて燭台のギャラリー。大理石の一枚岩で出来た大きな杯に、天井のフレスコ画、床のモザイク画。忙しいが、個人的にはここから続く通路が良かった。
ここからバチカン美術館のもう一つの大きな建屋に移るので、まっすぐの廊下を進むのだがそこにもギャラリーが続く。
タペストリーのギャラリー。大型のタペストリーに聖書に出てくる話が描かれているらしい。色褪せないようにここだけすこし薄暗くなっている。
地図のギャラリー。絵画というよりは天文学者が作製した実用的な地図。16世紀に作製された40ほどの地図だが、この時代にかなり正確な地図が描かれて、しかも平面だけでなくて鳥瞰図も正確なので見応えがある。この時代の日本地図だったらえらくデフォルメされたみたいなのしか無かったと思うので、えらく違う。そして緻密で豪華な天井画と、シンプルなデザインの床とここも異質な空間。
ラファエロの間。4つの部屋の壁画なのだが、壁と天井、アーチになっているところまで所狭しと、とくに人がびっしり描かれている。コンスタンティヌス帝の生涯などテーマがあり、あーまた不勉強ですみませんという感じ。そんな中、自身を描いているとか遊び的な要素があるのがいい。で、うっかり見逃しそうになるくらいしれっと出てきたのが、アテネの学堂。「人類の智と徳の一切を描いた壁画」を依頼されて書いた、時代や地域を無視して集まった賢人オールスターズみたいな作品。だけど顔がわからないからかルネサンス時代の芸術家の自画像っぽい顔で描かれている。こういうのが面白い。また、これ以外もアーチのところに書かれている絵のなかにもアーチがあったりして、そういう点など探すと意味がわからなくとも楽しめる。
さらに進むと突然白壁と木の床のシンプルな部屋、ボルジアの間になり、ここではダリをはじめとする近代絵画の展示エリアになっていた。ただ古いものを集めているわけじゃない。
ここから階段を登って進むと、バチカン美術館のメインでもあるシスティーナ礼拝堂。40.9mx13.4mに対して天井が20mあり抜ける感じがすごい。という第一印象も吹っ飛ぶほど、人がぎっしり入っている。コロナ前でもちょっといやなくらい。礼拝堂ということもあってこれまでのところと比べると薄暗い印象もあり雰囲気はあるのやけど。
ここも所狭しと壁画が描かれているが、やはりミケランジェロの壁一面の最後の審判と、創世記の天井画がすごい迫力。
人が多いからか礼拝堂感はないけど、異質な空間で印象的やった。ちなみに、システィーナ礼拝堂は映画天使と悪魔でも出てきたコンクラーヴェのところ。
バチカン美術館はここまでで、美術館の裏の通路を抜けると、今朝サン・ピエトロ広場で荷物検査を受けた先に出る。で、今度は説明を聞きながらサン・ピエトロ寺院を軽くみる。いろいろ見落としてたな、というのと、光の入り具合が変わっているので違った楽しみができた。なので、今ならクーポラ登ると朝は逆光だったローマ側が綺麗かなと思いつつ寺院を後に。
広場をしばらく眺めて、バチカンを後にする。寺院と美術館だけやけど、一日しっかりかかったな。
疲れているけどまっすぐ帰っては面白くないので、適当に来たバスを乗り継ぎ車窓から街を眺め、ローマ市街をぐるっと回ってホテルに戻る。
お向かいのホテル マッシモ・ダゼリオのレストランがいいとホテルの人に聞いたので1875年創業のレストランへ。(系列店らしい)。ホテルのメインレストランながら、普通にローマの方も来る老舗のレストランらしい、とのことでちょっとビビりながら入ったが、いろいろ気楽に入れるところやった。しかしさすがなのはサラダ頼むとオリーブオイルの瓶1本新品のままでてきて開封してくれるなど。シンプルだからこそ誤魔化せない感じで美味しかったし、いい時間を過ごせた。
日没時間にホテルのルーフトップバーへ。この辺りは起伏あるローマの中でも比較的高いところであるのと、ホテルが周りより背の高いビルなので、昨日今日歩き回ったところあたり含め見渡しがいい。今日も大満足。