2017年9月23日

能登へ

珠洲での芸術祭に参加すべく能登へ。
夜が開けたタイミングでお約束のなぎさドライブウェイ。まだガラガラでこれまた気持ちいい。

和倉温泉の外湯が開くまで時間があったので、能登島ぐるっと回って、和倉温泉の総湯へ。
朝の7時から開いている上に、共同浴場なので価格も安いのがありがたい。外観からして広くどっしりした老舗の温泉街という印象。中もすごく綺麗で、いつもは露天ばかり入るのだけれども、ここは広さと天井の高さもある大空間が気持ちよく内湯にもゆっくり入る。
いつも通り湯上りにコーヒー牛乳をと思ったら2択あった。

まだまだ8時でこれからやのに、かなり満足。

奥能登国際芸術祭 day1

能登半島の先端の珠洲市全体を使って開催される奥能登国際芸術祭へ。

まずは山の中の若山町から。
一番最初から、不安になるくらい狭い道を抜けたところにある作品「海のこと山のこと -在郷まわりと五芒星」。こちらには竹で作られたドームなどが作られている。かつて海側と山川で物々交換がされていたということで、芸術祭の期間中にリアカーで、海から魚のぬか漬け、山から米を運んで物々交換し、その様子をここのドームで上映するとのこと。

旧上黒丸小中学校での「月を映す花舞台」と「アートキャラバンKAMIKUROMARU」。校庭に舞台とはしごを並べた空間演出の作品。イベントを開催されるそうだが、この空間を見るだけでも楽しい。
構内でもインスタレーションの展示。
また、こちらでお母さんたちがジャガイモをどんどん蒸していてくれて、「食べていってくださいねぇ」といただけた温かさも良かった。
この後も廃校を用いた作品がたくさんあるのだが、それぞれ廃校の碑が立ててあり、廃校になるから取り壊すわけではなく残していくのだという意思を感じた。

またどんどん山を進み北山地区での「上黒丸北山鯨組2017」。
作者の坂巻さんが、海と山との物々交換を題材とした鯨談義を行っておられていて、山の中の田圃を大黒に、海の幸を恵比寿にたとえ、大黒が恵比寿を迎え入れるという作品になっており、休耕田に大漁旗や、家屋には鯨の頭骨のインスタレーション展示。
なぜ山の中で海のもの?となるのが、こういう話を聞くのが里山の芸術祭ならでは。

海側の珠洲市中心地、飯田地区へ。ここには多くの作品が展示されている。
奥能登芸術祭のメイン会場、珠洲市多目的ホールラポルトすず、に車置いてしばらく自転車で回る。
ここにも巨大ガチャガチャ「潮流」。これも物々交換式になっていて、買うこともできるし、入れることもできるようになっていて、人を通じてものが回っていく、がテーマになっている。
入れる際にはコメントを記入することになっていて、「リサイクル」というわけではなく、相手を思う「ものを託す」という心がこもっている感じがいい。

「さいはてのキャバレー準備中」。パリにあったようないつも準備中のキャバレーを再現した作品。波止場にある一見使われていなさそうな建物の中にあり、楽屋に入ることもできたりと、独特な雰囲気を出している。
ホールはカフェになっていて、パエリアとコーヒーを注文。

レトロな映画館 飯田スメル館であった建物での上映型の作品「シアターシュメール」。昭和レトロな看板や椅子などがホールに並んでおり、そこに流れる時間を砂で表現している。
JUENというスナックだった建物での「JUEN光陰」店舗兼住宅のなかを海の中を再現したような魚やカニなどのインスタレーション。
これら作家さんが現場をおとづれてのインスピレーションで作られた印象の独特な雰囲気があった。
商店街の旧店舗で「物語るテーブルランナー珠洲編」。各地で聞いた地元の人の出来事をランチョンマットサイズの布に手芸で絵にした温かみのある作品。解説要らずの生活のシーンが絶妙に切り取られている、見ていて楽しい。

金沢美術工芸大学のアートプロジェクトチーム「静かな海流を巡って」。
明治に建てられた古民家を会場にした、4つの大物の展示。
実際に使われていた漁の網を藍染めしてつくられた暖簾。編み方もこちらのものだそう。
奥に進むと蔵だったところに、蔵に残っていたものが床から天井までよかから網で縛られた、いえの木。なかなかの迫力。
中庭には小さな田んぼが。実際にここで育てているそう。
そして一番奥にあったのがすごかった。能登半島の先端の禄剛崎を中心に海岸線をまっすぐに伸ばした能登半島の地図に、各地にお住まいの方から聞いた思い出話を壁画にした作品。地元の人も楽しめる様子だった。床下には瓦や食器がぎっしりあったそうで、それはそのまま見せていたのも良かった。

海沿いを走って直(タダ)地区へ。
蔵での展示、「触生--原初--」。漆を使った作品なのだが、コレが漆なのかと思う不思議な色あいの作品2点。蔵は明治時代のだそう。よく残して来たなぁ。
「本江寺の倉庫」は、浜辺沿いの倉庫で、倉庫内の桟橋のようなアプローチを進むとみえる海側を開けて海を借景にしたいモービルの作品。
今は道の駅の一部になっている、旧珠洲駅のプラットホームでの展示「善でも悪でもないキオスク」。一見普通にグッツを売っているキオスクにみえる作品。
ここでは少しだけど線路が残っていたりしてちょっと楽しめる。

再び飯田地区に戻って、行きそびれた「小さい忘れ物美術館」。ここは旧飯田駅が会場になっていて、忘れ物でつくられたインスタレーションを展示。旧駅舎と忘れ物という視点が面白い。プラットフォームに傘が刺さっている展示はなんとも哀愁あり、明るくもあり、なんとも言えない良い作品。こうやって使われなくなったところが会場となって、かつてのように人がたくさんやってくるのは良い展示。

車での移動再開。上戸地区へ。「青い船小屋」。ここも海沿いの船小屋を改装した展示。青く塗られた板での能登の風景をイメージしたインスタレーション。少しだけ海が見えるようになっているところも絶妙。
「うつしみ」旧上戸駅舎を用いた作品。ここにいたおじさん曰く、昼間来ても何もわからん。また夜にこよう。結局ここが一番印象に残った作品になった。

宝立地区へ。
能登半島を代表する名勝、軍艦島こと見附島があり、ここには陶器の展示「Drifting Landscape」。もともと大陸の影響を受けて作られた珠洲焼。その珠洲焼と中国の磁器が流れ着いたかのように並べられていた。
現役の銭湯での「混浴宇宙宝湯」。ここはもともと芝居小屋や旅館だったそうで、そのステージや宿泊部屋での展示。建物の作りがかなり複雑で、受付の方が、どうぞ迷ってください、との案内がよかった。お酒で盛り上がったという展示の窓の外には酒屋さんの酒樽の看板。こういう演出がいい。
旧鵜飼駅での「ま-も-な-く」。廃車になった車両を使ってのインスタレーション。車両を一本の光が貫いた作品。これも夜にこないとわからないか?

今日の宿はここから離れているので、今日はここまで。

まれのロケ地大沢地区

能登半島ぐるっと回って、まれのロケ地だった大沢地区へ。今日の宿はここ。
3mくらいの竹を隙間なく並べてつくられた冬の風と波し雪とぶきを防ぐ間垣が印象的な地区。待合室とか自販機だけくる抜かれたような感じになっているのもまたいい。

お宿にチェックインして、まれグッツが飾られていると宿の方に聞いた公民館へ行くことに。

公民館には、ロケで使われていて、NHKさんに置いていてもらったと言言われていたように思うが、小道具、大道具などか展示してあったり、出演者のサインやオフショットの写真、何より公民館で何時に休憩が入るか書いてああるスケジュールまで置いてあった。
何より、公民館は無人なわけだが、こうやって観光客向けに開けっ放しになっているアットホームさがいい。

ここは、ほんの数分で一周回れてしまう集落なのだが、全てがロケ地。で、そのまま残っている。
民宿桶作がそのままあったり、セットのバス停のほうがリアルバス停よりしっくり来ていたり、まれでは外浦村という架空の村なのだが、そこいらに外浦村と書かれているものが残っていたり、壁画もそのまま。まさに聖地って感じがする。

宿にもやはりまれ三昧。そして、夕食は地元の魚三昧。本当に今日採れたものばかり。
宿のお母さんとかから話聞いてると、公民館とかを待合室などにしたとか、みんなでおにぎり作ったとか、いつも港で座っているおじさんたちが急にエキストラ出演したとか、大泉さんはぁ、賢人くんがねぇ、やのに、土屋太鳳さんは まれちゃんと呼ぶくらいの距離感がすごく良かった。
「とにかく楽しかったねぇ」と言われていたのが印象的やった。町の皆さんの支えがあってドラマが撮られてたんだなというのがよくわかる。

2017年9月24日

大沢から珠洲まで

大沢地区から上大沢まで海岸線をサイクリング。天気がいいので気持ちがいい。

宿を後にする。流石に放送から何年も経ってるから何もないかと思ってたけど、まれがたくさん残っていて話も聞けてよかった。
もう一つ聞いてた、岩の穴から落ちる滝。桶滝。もともと普通の滝やった形跡もあるが、ホットポールの底が抜けた感じ?面白い。

珠洲まで揚げ浜式の製塩所などよりながら海岸線を走る。今日は本当に天気が良く、沖合の舳倉島などの島が全部見えた。

奥能登国際芸術祭 day2 前半

今日は能登半島の外海側の展示を見て回る。
まずは大谷地区から。
「時を運ぶ船」揚げ浜式声援に欠かせない砂を運ぶ砂取船のインスタレーション。保育所の教室とは思えない真っ赤なコードで飾られた、世界観。
「サザエハウス」。サザエを密集してつくられた家で、多くの人が支えあっているのが表現されていたり、こちらではお客を迎える際にもサザエを出される文化がある、などなど、何重にもかかっていてすごい。

「珠洲海道五十三次」。珠洲市内4ヶ所の現役のバス停を作品にされているうちのひとつ。今でも使われているものを作品化する所が面白い試み。
「神話の続き」

日置地区の木ノ浦海岸へ降りて、少し早めの昼食「Cafe Cove」で、シチューと野菜のワンプレートランチ。体に優しい感じのお味。かなりの人気店で待ってる間に列ができてた。ここは映画のロケで使われていたそうで、それにあう景色の良さ。
カフェの前に作品「海上のさいはて茶屋」。海上にせり出た所に建てられた茶室での「美術を企画してみせる会場」という作品。この日は雑貨の」展示があった。
木ノ浦海岸の入江に「船首方位と航路」切り立った岩の陰に当たる所にあり、これから出航する感がいい

シャク崎一帯を使っての展示、「陸に上がる」。遊歩道を登った先と海岸に降りた先の2ヶ所に鹿の角のような作品が展示されている。タイトルから想像すると、断崖絶壁の途中と、岩場の先にあるという、なかなかドラマチックな作品。
この作品が見るのが一番大変やったけど、作品でもないとこんなに遊歩道歩かないやろうし断崖絶壁も見ることはなかったと思う。

「海と山のスズびらき」。海と山をつなぐ日置地区中心地での廃校になった学校での展示。一人一枚の想い出を描いたフラッグを作り工程にズラッと並べられていて、心温まる作品。
「魚話」海から珠洲を見た幻影の映像作品。屋外の明るい展示が続いたので暗い屋内でのじっくり見等れる不思議な作品
「珠洲街道五十三次」。バス停作品二つ目。うっかり見逃してしまいそう。

禄剛崎による。半島の先端でちょっとした芝生の広場がある気持ちのいい所。久しぶりに来たがここまで晴れていると気持ちがいい。
道の駅で芸術祭パスポートでドーナツ1つゲット。

三崎地区へ。
「最涯の漂着神」。難破船と、流木でつくられた鯨の助骨をイメージした砂浜に流れ着いたような作品。かつてこの辺りの生活の糧をまとめたというもの。船の内側には神様?が祀られている。
「小海の半島の旧家の大海」古民家の居間を塩で満たして、能登から大陸までの様子を再現した作品。どこまで塩が積まれているかはご想像にお任せとのこと。

「奥能登口伝史料館」保育園での映像を中心とした展示。作者たちが地元の人に聞いた話を元につくられた口伝での作品なのだそう。

奥能登国際芸術祭 day2 後半

蛸島地区へ。
「Bookmark of dried flowers」。旧のと鉄道の終着駅 蛸島駅での展示。鉄道網が急成長しているインドネシア出身の作者がすっかり廃れてしまった駅を見て造られた作品、と意味を聞くと考え深い作品。
旧蛸島駅から線路をてくてく歩いていくと次の作品、「Something Else is Possible」。渦巻くようなフレームの空間作品。それだけでなくその中にある双眼鏡から終着駅だった旧蛸島駅の先の線路の端を見るとまた別のものが見える。
線路と駅の使い方が上手い。

「Passing」。旧漁業倉庫にて、網など残されていたものを使った作品。照明が動いて影が動くというもの、この方の作品も何箇所かで見てきたけど、ここまで大きい物は初めて。広がり感の演出がいい。

正院地区へ。
「スズズカ」。保育園だったところに壁や天井に泡をイメージした球体のものが埋め尽くされている。空間の作品。衣装もあって体験的にも楽しめる。
ここにもバス停の作品「珠洲海道五十三次」。違和感あるはずなのに、見過ごすくらい普通に見えてきた。
旧銭湯での作品。男湯と女湯でそれぞれ別の作品が展示されている。「信心のかたち」は天井近くの壁から落ちてくる泡のインスタレーション。はっきりしないものを信じる心を表している。もう一つは「into the rain」雨水の雫が作る波紋をカラフルに表現した作品。

宿がある蛸島地区に戻って、鉢ヶ崎わくわく夢らんどの大型遊具を用いた作品「みんなの遊び場」。
作者は現地で得られる廃材を用いて飾る作品を造って来られていて、ここでは漁業用の網やブイを使って飾られた遊具の作品。
普段は子供用の遊具だけど、こういう作品になると大人でも楽しい。
これにて、奥能登芸術祭コンプリート

最後に、昨日、夜じゃないと見ても仕方ないと言われた作品を見に行く。
時間が来るまで、昨日もいたおじさんと話しながら待つ。のと鉄道が動いていた頃、このおじさんがこの駅を長年見て来られた話がとても楽しかった。時計が盗まれたとか、大雪が降った時に雪かきしたとか、一見何もない駅なんだけどいろんな事があったのだなと感じた。
で、日が沈んだ瞬間くらいの、駅も作品もどちらも見える瞬間がすごく幻想的で良い。これはこれまで見てきた芸術祭でトップクラスの感動作品。

海と山と、それぞれの集落と幅広く楽しめる里山の芸術祭やった。何より、第一回にも関わらず、地元の方が、本当に勝手にやっておられるようなボランティア参加数が多くて、こちらもすごく楽しめた。

2017年9月25日

奥能登芸術祭 その他

蛸島地区にある宿の景色が良かった。芸術祭期間中かなり満室率が高いそう。
ここの表には、珠洲焼の博物館とショップ、周辺には温泉や珠洲焼の窯が並んでいて散歩してても楽しめる

輪島に博物館があるくらい奥能登のお祭りには欠かせない山車のキリコ。展示でしか見た事なかったけど、途中お祭りで生きたやつを見られた。

能登丼もいただく。能登産の食材を用いていれば良いということで、お店によって海鮮だったり肉だったり様々。前回来た時同様ローストビーフのお店でいただいた。で、やっぱりお箸がいただける。

以前、講演を拝聴した先生の自動運転車の試乗会をやっておられていたので参加。
駐車場を出るところから街をぐるっと回って駐車場に止まるまで全て自動。動きもかなり人みたいにスムーズで想像以上。やっぱ乗って見ないとわからない。・

久しぶりに風車探訪。

作品をコンプリートしたのに、ポスターに使われていた車両がないなと思っていたら、帰り道で発見。
多分、普段からあそこに止まっているのだろうけど、道路からかなり遠いし、もっと目立つように置くなり看板立ててくれたらいいのに。