2023年3月11日

UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川2023

2018年から毎年島田と川根本町で開催されているUNMANNED無人駅の芸術祭/大井川2023へ。
空き家などを利用したこの手の芸術祭は数あれど、こちらは地域活性化のNPO主催なのと、拠点が大井川鐵道「抜里駅」という無人駅の地区にあるという密着度の高い芸術祭。
まずは一番奥の、青部駅と近くの丘にある、歪んだ椅子「Our Lovely Red Stone,Our Lovely Small Worlds」 。絵に描いたような無人駅の木造の駅舎の中に作品があるのだが、一見どれが作品かわからない。よく見ると、この辺では「赤い石」に関するなんやかんやがあるというポスターに観光案内、過去の出来事などが書かれている世界観が作品とのこと、もうどこまではほんとでどこからがフィクションなのだがわからないくらいにできている。この近くにあるお社の経緯にインスピレーションを受けて作られたとのこと。おもしろい。

塩郷の吊り橋の近く、三津間集落での「ひかりとり」ちょっと早かった。

芸術祭のメイン会場、抜里駅へ。駅前にはサヨばあちゃんの休憩所という、地物の販売所がありこちらからもう作品「地蔵まえ/縫い合わせ」がある。さっきの「赤い石」のながれがあるので、どこまでが作品なのか状態になるが、こちらはほぼ本物らしい。
駅前にはお茶畑が広がり、そのなかにもさきほどの「地蔵まえ」のシリーズ。そして、木製の円形のベンチと風にたなびくカーテンの「境界のあそび場Ⅱ/ちゃばらのカーテン」。このカーテンものの作品は大地の芸術祭でも見たけど、なんか溶け合っている感じが、とてもいい。ずっと見てられる。

抜里の北の端の竹藪の中に秘密基地的にある「くぐちこぶち」藪の中にふわり浮いてるような白い物体。最後に大井川鐵道の鉄橋が見られるのもいい。
芸術祭の拠点、アトリエ&ゲストハウス ヌクリハウスでの「無人駅文庫」過去の芸術祭で無人駅ごとの小説がかかれたとうでそれを文庫にしたものが販売されていた。また、イベントでこちらの障子にライブペイント(?)で書かれた漫画の展示もあった。

集落北側にある寺山に登る。山道の脇にはお茶畑が広がり、ところどころ「ぬくりアート回廊×女子美術大学」の作品がある。

登り始めて20分弱くらいで、山頂にある展望台に到着「境界のあそび場Ⅳ/音の要塞」叩くと音が鳴る日用品やパイプが吊るされている。展望台からの集落を見下ろす風景がまず目に入る。この中での、あー、向こうに伝える手段ということやねというのがわかる、なるほどの作品。

麓に戻り、抜里八幡神社の境内にある、キラキラ光を反射する系の作品「夏虫色にたゆたう」。本殿だけではなくて、神社の木々や山にも反射するので囲まれている感がいい。早く動くものもあればゆっくりもあり、この天気のこの時間でしかみられない感じが、久しぶりの鳥肌もの。鏡にはたぶんご近所の子供たちが書いたのだろう絵があったりもしていて、そこもまたいい。

空き工場や家屋を全面に使っての参加型作品もあった。こういう活用が芸術祭っぽい。

島田市までくだり、日切駅と日限地蔵尊境内の「表参道―願いをつなぐ―」。越すに越されぬ大井川の対岸とセットで作られた作品。

この芸術祭のシンボル的作品、神尾駅のバンブーハウスへ。ここより北に進む家山までのルートが通行止めになっているので、道中通行止めの看板やバリケードを大丈夫かなと思いながら進みつつ、神尾の集落に到着、さらに狭い道をすすみ駅にたどり着く。大井川鐵道に乗った時に気になってたたぬきの置物で溢れる駅。一日の利用者が6人の駅なので、人よりもたぬきの方が多いということらしい。作品はトンネル前にある旧駅舎を周辺に生えるえる竹で覆ったもの。中に入って休むことができる。昨年解体される予定だったらしいけど、住人の希望もあって管理維持して残すことになったのだそう。すばらしい。

県下最大級の「緑茶・農業・観光の体験型フードパーク」KADODE OOIGAWAへ。ベーカリーで昼食。お茶ラテもいい。で、数量限定らしいがまだ残っていたお茶16種飲み比べ。最初はまったく違うことがわかるが、ある程度飲むと、恋も薄いもわからなくなってくる。違いがわかるようになりたい。

大井川東岸に渡り、島田市博物館前にある東海道に残る宿場町での川会所に作られた作品、「渡る願い」。先ほどの日限地蔵尊と対になる作品。かつて大井川を渡る際の渡しがどのようにされていたのかもわかる。こんなところあったんや。

最後に島田駅前へ。抜里八幡にもあった反射の作品が、こちらでは日光が水に反射して映る作品があった。こういうセットものもいい。ちなみにこちらにも拠点があるのだが休日は空いてないらしく、ほんとに無人駅の抜里だけが拠点なんやなと、この芸術祭の特徴やった気がする。
ということで、微妙にみれら買ったのもあるが、スタンプラリーコンプリート。これくらいのサイズの芸術祭なら、いろんな地域でも開催できるしよいな。

最後に伊太和里の湯に寄って帰る。