2021年7月17日

佐渡1日目

佐渡汽船で佐渡島へ。
少し早めにターミナルへ向かい、栃尾のジャンボ油揚げうどんをいただく。厚揚げとは違う分厚い栃尾の油揚げで食べ応えあり。
ジェットフォイルで約70分で佐渡島の両津港に到着。なおこの航路は国道350号線。
両津港側では、世界遺産登録登録目指す展示や、ジオサイトの紹介、ずらっとお土産物屋さんが並ぶ。
両津港は砂州にあるので
港で車を借りて、佐渡一周線の県道45号線を時計回りに走るとする。

姫崎燈台。日本現存最古の鉄製灯台で、日本に5基しかない世界灯台100選にリストされているそう。そうは見えないほど今でも綺麗な灯台。
灯台なので当然なのだが少し高い位置にあって見晴らしのいいところ。時間が早くて展示館を観られなかったがこちらも洋風ぽく瓦葺きだったりとモダンな雰囲気で良さそう。ちなみにここの広場がキャンプ場になっている。ちょっと茂みが多いので虫多そうやけど。

佐渡島の南側をぐるっと回る。ジオスポットが点在しているのだがどれがそうなのかわからない。
赤亀・風島なぎさ公園。海に突き出た一枚巨岩「風島弁天」と鉄石英の赤い大きな岩「赤亀岩」にはさまれた穏やかなビーチなのだけど誰もいないので貸切状態。すばしぼーっとする。
その先の、松ヶ崎地区へ。本州に一番近いところでかつての佐渡島の入り口だったところとのことで、鴻ノ瀬鼻灯台もある。今はフリーキャンプ場「松ヶ崎ヒストリーパーク」になっている。またこの海岸周辺の松ヶ崎地区は、佐渡ではよくあるのだが、ひときわ黒塗の板囲いの民家がならんでいるのが印象的。
またこの先も同じくなのだが、黒光の真新しい瓦が印象的。佐渡瓦という地のものらしい。

ちょっと戻って、岩首昇竜棚田へ。海から集落を挟んで標高350mまで細長く伸びる世界農業遺産の棚田。急峻な土地に幅狭くくねくねしながら伸びているので昇竜棚田と呼ばれているそう。水張ったタイミングできてれいれば反射が綺麗やろな。一番上に小屋がありゆっくり眺めることができる。

佐渡島西の玄関口小木港から少し進んだところにある矢島・経島へ。
朱塗の太鼓橋で繋がった2つの島に挟まれた波の少ない入江で、たらい舟を使って海藻の漁をされている絵になるところ。
浪曲「佐渡情話」の舞台とのことだが、大音量で流さなくてもという感じ。

宿根木へ。ここはとてもお気に入り。
まずは佐渡国小木民俗博物館へ。宿根木の集落の公開民家との共通券があってお得。
廃校になった小学校をリノベして主に民俗資料を展示している。
まず、なんといっても実物大の千石船「白山丸」の展示。実物大の木の北前船。中にも入れる。このサイズのは観たことがなかったのでテンション上がる。展示のために当時の図面を元に復元したとのこと。
そして展示館では、これでもかというほどの、民芸品がずらり。価値のあるものというよりは普通に使っていた器や衣服、業や昭和な日用品ま30,000点ほどあるのだそう。もう倉庫がそのまま展示されている感じ。さすが、と思ったのは全国津々浦々の焼き物がならんでいるのだが、それらには佐渡島で焼かれたものはひとつもなく、北前船で持ってこられたものだそうで、逆にそれがすごい。日本がここに集まっていた感じがする。
復元された船の展示だけと思って立ち寄ったのだが、いやいやとてもいいものが見られた。

宿根木の集落へ。この辺りは高台にあるのだが、集落は川が削ったところに港直結で広がっている。
とにかく暑いので休みがてら昼食をいただく。宿根木の入り口にある体験館のよしかわ屋さんで海鮮焼きそばをいただく。うまい。
街に入る。宿根木の集落は板張の家が迷路のように入り組んだところに並ぶ。
公開民家(清九郎)へ。柱や床、囲炉裏、ふすま、よくある古民家なのだが木は全て漆塗りだし、よく見たらとは一枚杉だったりとにかく派手ではない方向の豪華な材を使われている。さすが船主の家。吹き抜けの上の方の窓の開閉は船で使われている縄を引く方法などが用いれられていて船大工の町の技術も見られる。外を見るだけではもったいなく入ってよかった。テープで宿根木がどういうところだったのかも紹介があってよかった。
つぎに通称三角家。吉永小百合さんのJRのポスターにもなったところ。平成18年まで住まれていたおうちがそのまま展示されている。名前の通り、別のところから移設された際に土地の形を最大限利用して尖った三角形の家になっている。中に入るとたしかに、係の方がそのまま住まれているのではないかというくらい生活感あるまま展示されている。宿根木で育った係の方がここ数十年あった変化や災害など教えてくれて、小さな川とか路地とか、これまた理解が膨らむ。
最後の公開民家金子家は、船大工の家で庶民の家なのだろうけどここもまた家具などは漆塗りのピカピカで潤っていたんやなというようにみえた。
北前船で財を成した船大工が築いた宿根木。今でもその片鱗がところどころ見られ、生きたまま残っているのがいい。

で、まだ宿根木の魅力は終わらず、集落から通りを渡るだけの海岸へ出る。このあたり海底火山からの石や灰が流れ出てゴツゴツした平地が形成され、それが隆起してでき、さらに波が削って今の形になっているジオサイト。スターウォーズのロケで使えそうな他の惑星感がある。
少し歩くだけで特異な自然から文化が味わえる宿根木はここ最近で一番のヒット。もっと時間用意しておくべきやった。

佐渡島一周と思っていたけど、宿根木が良すぎて時間をかけたので、ショートカットして、西三川の笹川地区へ。
笹川地区は数えるほどしか家がない小さい集落で離合ポイントが少ない険道の先にありながら世界遺産候補の構成遺産の一つの佐渡最古の砂金山がある。
世界遺産候補とは別で国重要文化的景観に選ばれて、住民参加で建てられた案内看板が評価されそのプロセスがグッドデザイン賞を取ったそう。
その看板頼りに散策し、分校の(入っていいのかなというくらい)奥にある阿修羅堂などを散策。
で、どこが世界遺産候補なのかわからず。でも山肌に採掘していた跡が虎丸山に残っているとのことであれかなというところ発見。そのうち看板とかできるんやろな。
また、大山祇神社やその先の木造家屋の並ぶ国重要文化的景観の地区を散策。
結局、人一人会わなかったのだけど、世界遺産になったからるかな。

さて、いよいよ時間がなくなってきたので相川地区へ急ぐ。海岸沿いには太古の火山活動でできたジオな岩があるのだが泣く泣くスルー。でも、人面岩だけ寄る。なんとも絶妙な形で、また街や金山の方向を向いているような邦楽なのもあって、アート作品みたいに見てしまう。

佐渡金山跡へ。ここには2本の観光坑道があり、両方とも入り口、出口は同じところにあるのでまとめて見て回れる。
まずは道遊坑へ。明治から平成元年まで使われていたところで、運搬用のトロッコの軌道跡のトンネルを通る感じ。外は30度超える感じだが確かに中はひんやりしている。一番奥は道遊の割戸の真下になる採掘跡までいける。坑道を出たところから少し歩くと今度は道遊の割戸の目の前まで、さらにもどり資料館を見てその先の広場に出ると道遊の割戸の割れてる感を感じられる絶景スポットに出る。とこちらは見る感じ。
出口にはお土産物屋があり、緊迫ソフトで一休み。
次に宗太夫坑へ。こちらは江戸時代に作られたさらに古い手彫りの坑道だけど、メインは動く人形での「佐渡金山絵巻」に描かれている採掘作業の再現。
2本合わせて、技術やそこで働いていた人の様子と佐渡金山の四百年の歴史を体感できるところ。見られる坑道は2本だけだけど実際には蟻の巣のように分岐していて総延長は400kmあるそう。ぜひ、世界遺産登録目指して頑張っていただきたい。

道遊坑の途中で見えた搗鉱場(とうこうじょう)跡へ。鉱石を砕く機械がここにあったのだそう。
建物は撤去されていて残っているのは基礎の部分。火が当たらない山間にあるのもあってこの廃墟感。

さらに山を降り港町に近い、北沢浮遊選鉱場跡へ。1930年代後半に建てられた浮遊選鉱場で残っているのは階段状の躯体のみで、50mの濃縮基シックナーなどものこっている。また明治時代に建てられた火力発電所も残っている。一方で、その間の広場は整備されていて見学しやすい。うっそう感のない、逆にこのサイズで階段状で残っているというところで、廃墟的ではあるけどもどっしりした存在感が圧倒的。いろんな距離方じっくり見たくなる。廃墟マニアな人でなくてもたくさん訪れるのもなっとく。
鉱石を採石し、砕き、金のみを取り出し、輸出する、という工程があり、それが山上から海まで順番に建てられている一連の流れが見られてそれが残っている良いセット。

まだ時間があるので、もう一つの世界遺産候補の構成遺産、鶴子銀山跡へ。
これまたなかなかの道を進んだ先にちょっとした広場みたいなところにある。施設がいくつかったようでその跡があるのだが、どこが構成遺産たるところかわからず、立ち入り禁止のところの手前の穴っぽいところとかまで見て戻る。なんせ鬱蒼としていてちょっと怖い。

相川地区から少し離れた断崖の上にある今日の宿へ。
敷地内の芝生越しの海が見えるオーシャンビューの部屋。はい、もう最高。
芝生の先を歩いてると台場跡があり江戸時代に大陸からの侵略にそなえて作られたのだそう。そんなのあったんやというのと、ここに今は三角点があり、こんなところにも三角点あるんやという2重の驚き。で、久しぶりの日本海の夕日。岩に反射するのがまたいい。
源泉ではないのだけど近くから持ってきている温泉のお風呂に入り、夕飯のこれでもかってほどの刺身盛りで満足。おけさ柿のシャーベットが絶品。柿が苦手な人もこれなら大丈夫だと思う。物凄く食べやすく、何個も欲しくなる。

北沢浮遊選鉱場跡のライトアップへ。カラフルなのもいいけど、やっぱり単純な白ライトでの廃墟の浮遊感が一番いい。
宿に戻ると今度は月が海に反射して綺麗やった。